映画「はじまりへの旅」レビュー

ヴィゴ・モーテンセン主演。文明に背を向けて、アメリカ北西部の山奥で自給自足のサバイバル生活を送る7人のヘンテコ家族の物語。7〜18歳の子供たちは、スマホもインターネットもなく、もちろんテレビもアディダスもナイキも知らないが、身体能力は一流アスリート並み。知力も古典的名作、「カラマーゾフの兄弟」やジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」を読みこなすという、学校に通っていないとは思えないほど。お父さんの教育方針はいささか左寄りで極端ではあるけど、読書の後は内容を理解したか必ず的確な質問したり、特に若干反抗的な次男レリアンが読んでいる「カラマーゾフの兄弟」。この作品は、「父殺し」をテーマにしたもので、自分自身(父親)を批判する選択的自由を与えているワケです。こういう極端な教育方針をとる家庭は、子供たちを「洗脳」しがちですが、自由に民主的な物の考え方を醸成させているんやな、ということが読書にまつわるシークエンスで理解できます。本作は、この家族が亡くなった母親の葬儀のために、はじめて旅に出るロードムービーでもあります。いく先々で巻き起こる「文明」との衝突と中庸、そして止揚に至る過程はぜひ劇場で観て欲しいところ。将来、「午前十時の映画祭」のラインナップに加わってもおかしくない良作でした。

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