映画「野良犬」レビュー

「午前10時の映画祭8」グループAの17本目。次に「天国と地獄」が控える黒澤明月間の一本目です。VHSに続いて2度目の鑑賞。戦後わずか4年後に製作された黒澤明監督の刑事サスペンス。若手刑事とベテラン刑事の組み合わせ、いわゆるバディ・ムービーの走りなんでしょうか。うだるような真夏の熱気が、4Kにレストアされた画面からほとばしるかのようで、こちらまで蒸し暑さを感じるほど。地道に足で稼ぐ捜査の手法は、これ以降の映画に確実に影響を与えているんでしょうね。アプレゲールという耳慣れない言葉が出てきますが、これは戦後の若者に広がった、やや自暴自棄的な思想や風潮のようなものだそうです。一口にアプレゲールと言っても、全ての若者を一括りに出来るわけではなく、ある者は、世を嫉み犯罪に走り、ある者は希望を持って刑事になる。主人公を演じた刑事(三船敏郎)と犯人の同世代の正反対の対比、緊迫した場面であえて明るい曲を流す(コントラプンクト)という音と映像の対比、2つの対比も楽しんで欲しいところです。

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