映画「福田村事件」の感想・レビュー
香川県内の映画館で脚本家の舞台挨拶がある、とネットで知り、鑑賞。1923年に日本の千葉県で実際に起きた事件を基に制作された劇場用映画。デマや噂に踊らされる人々の不安心理、容易に暴力や虐殺に至る群衆心理の恐ろしさが描かれている。また、封建的身分社会の最下層に位置する「穢多・非人」や朝鮮人への差別問題も大きなテーマである。自分の周りの集団が一斉に「狂った」時に、自分だけは正気でいられるのか。何が正しくて、何が間違っているのか。そういう正常な判断ができるのか。激しい同調圧力の中で、自分一人だけ異を唱えることができるのか。様々な自問自答が、自分の中で噴出してきた2時間弱だった。また、民主主義の弊害についても、言及されていて、集団の成員がほとんど異常である時の多数決の是非や、少数派の方が正しい場合に、より良い結論を導くことが出来るのか。大いに考えさせられた。100年前の事件ではあるけど、デマや流言はSNSが隆盛を極める現代では、デマの伝播がさらにスピード感を増している。また、ヘイトスピーチなど差別も無くなるどころか、より先鋭化しているような気もする。現代社会でも充分に起こり得る事件であり、背筋が寒くなる想いがした。余談だが、妻は香川県出身。「瑛太の讃岐弁は、結構頑張っている」とのこと。
Posted from SLPRO X for iPhone.