書評「ユマニチュード入門」。認知症ケアの質を上げたいあなたにオススメの一冊!

ユマニチュード入門
認知症ケアの新たな技法である「ユマニチュード」。特別養護老人ホームで勤務し始めてもうすぐ4年を迎える私。日々、認知症のご利用者様に向き合っているのですが、一度、本で学びたいと思い、「ユマニチュード入門」という一冊の本を手に取りました。以下、3つの項目に分けて書評をお届けします。

1.ユマニチュードとは?

イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの2人によって作り出された知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づいたケアの技法です。さまざまな機能が低下して他者に依存しなければならない状態になってしまったとしても、最後の日まで尊厳をもって暮らし、その生涯を通じて「人間らしい」生活を送ることを支えるためのケア技法でもあります。また、介護職・看護職における「ケアのプロ」として、3つの目標を掲げています。

  1. 健康の回復を目指す(例えば肺炎を治す)
  2. 現在ある機能を保つ(例えば脳梗塞後のマヒが進行しないようにする)
  3. 回復も機能維持も叶わないときは、できる限り穏やかな最期を迎えられるように、死の瞬間までその人に寄り添う(例えば末期がんの緩和ケアを行う)

次の項目では、本書で得られた学びについて実際に見ていきたいと思います。

2.具体的なユマニチュード入門の学び

睡眠を妨げない

特養では、夜勤帯の安否確認と定時のおむつ交換があります。しかしながら、安否確認とおむつ交換によって、安眠が妨げられるのも事実。記憶の機能が低下した認知症の高齢者でも、感情の記憶は比較的保たれていたりします。安眠を妨害されることによって、幸せな眠りの時間を奪われ、悪影響があるのも確か。この部分の記述は大いに共感しました。ただ、現実問題として、安否確認やおむつ交換を中止するのはなかなか難しいですね。施設全体としてケアのやり方を変えないといけないレベルです。

オートフィードバック

これは、認知症が進んでいる利用者様で会話ができない状態の方がいらっしゃいますよね。そんな時、私も「どうせ返事がない方だし、黙々とケアをしよう」と思いがちでした。そのような利用者様でも人間性を尊重する手法です。たとえば、入浴のケアの際に「今から体を洗いますよ~。」、「湯加減はいかがですかー?」などと自分のケアを実況中継しながら声掛けをする、ということです。これは、施設全体のケア方法を変えることなく、自分自身のケアを変えるだけなので、即実践可能です。私も最近はそのように取り組んでいます。「そんなことをして何が変わるの?」という人もいるかもしれません。ですが、伝わっていないようで伝わっていることも。ほとんど反応がない利用者様が、心なしか表情が柔らかくなったように感じることもあります。

合意が得られなければあきらめる

認知症の利用者様でケアに対して「拒否」をされる場面は、どこの介護施設でも見受けられると思います。そんな時、3分以上合意が得られなければあきらめる、ということが大事。時間をおいて、たとえば30分以上たってから再びお声掛けをするのもありですが、あまりにも拒否が強い場合は、午前中はあきらめて、午後にお声掛けするのも良いと思います。また、介護者を交代することによってもうまくいく場合もあるでしょう。

嫌がる言葉は使わない

これは先ほどの項目と似ていますが、「入浴」という言葉に拒絶反応を示される方であれば、「さっぱりしませんか?」と言い換えをするということです。要は言葉の選び方次第。あっさりとケアの了承を得られることもあります。

あとがき

認知症のケアに携わっている方に読んでほしい「ユマニチュード入門」。日々の認知症ケアのクオリティアップにお勧めの書籍です。

ユマニチュード入門
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