全体主義国家の恐怖を描いたSF小説の傑作「1984」

1984SF小説の金字塔とでもいうべき1984。近未来の全体主義国家の恐怖を描いた傑作です。SFが好きな私としては、避けては通れないだろうということで、500ページ近くと結構分厚いのですが読了しました。

「真理省」と「2000万円問題」

1984の帯「真理省」とは、本作の主人公ウィンストン・スミスが務める省庁。近未来の全体主義国家「オセアニア」の党にとって、都合の良い報道だけを取捨選択し、必要であれば、歴史の改ざんすらも厭わない組織です。「オセアニア」では、報道の自由とか民主主義などといった言葉は存在しません。完全なる一党独裁。今の中国や北朝鮮を彷彿とさせる国家です。前記2国よりもさらに苛烈ですが。「真理省」で連想したのが最近までニュースをにぎわしていた「2000万円問題」です。

「老後2000万円問題」の何が問題か

老後2000万円足りないとする金融庁の報告書が大きな問題となっています。麻生大臣の「受け取らない発言」や、役人に責任転嫁するような姿勢には強い憤りを感じます。許せません。他方、年金の「100年安心プラン」はウソだった決めつけるような議論には、違和感を覚えます。

「2000万円問題」とは、一言でいうと「老後は年金だけでは2000万円程足りないよ」という金融庁の報告書に端を発した問題だと私は認識しています。その報告書を麻生大臣が「受け取らない」などと発言していますが、どうしても「政権にとって都合の悪い報告書は受け取らない」と私には見えてしまいます。ただ、「1984」の真理省に比べてはるかに健全なのは、こういったニュースそのものを包み隠さず報道していること。これが現在の中国だったら、いくらか隠蔽されてしまうかも。その点を考えると、まだまだ日本は安心かな、とは思います。

「ニュースピーク」と「言葉狩り」

1984ニュースピーク」とは、思考犯罪を予防するために英語を簡略化した新言語。「1984」の時代では、党に対して反政府的な思想を持つだけで「思考犯罪」とされ逮捕の対象になります。「ニュースピーク」の恐ろしさは、徹底的に語彙を削減していき、思考の範囲を狭めてしまうこと。言葉って本当に大事で、様々な言葉があるからこそ、思考の範囲も広がるのです。「良い(good)」という意味の言葉は他に「素晴らしい(wonderful)」、「申し分のない(splendid)」などがありますが、全体主義国家にとっては「良い(good)」だけで十分。「素晴らしい(wonderful)」、「申し分のない(splendid)」など無駄な語彙があれば、反政府的な言動に結び付く、というのです。それで思い出したのですが、介護における「徘徊(はいかい)」という言葉。以前、私が記録に「徘徊(はいかい)」という言葉を使ったところ、当時のリーダーに「家族様が不快に思うような言葉は書かないように」と指摘を受けたことがあります。「徘徊」とは、「目的もなく、うろうろと歩きまわること」で認知症の周辺症状の一つです。今思えば、家族様の心情を慮ったリーダーの心境も分からなくはないのですが、これは「言葉狩り」だと思います。大事なのは、記録から「徘徊」という言葉を抹消するのではなく、認知症の周辺症状である「徘徊」という行動に寄り添って、適切なケア方法をチームで考え実践すること。少し話がそれましたが、そんなことを思い出しました。

スティーブ・ジョブズと「1984」

スティーブ・ジョブズ
実は、「スティーブ・ジョブズ」と「1984」の間にはつながりがあります。それが下記のCM。

これは、初代macintosh発売の際に、リドリー・スコット監督によって作られた「1984」をモチーフにしたテレビCMです。アイデアを考えたのはスティーブ・ジョブズ。「1984」的な政府や企業に風穴を開ける存在としての「Apple」そして、「macintosh」を印象付けました。

あとがき

SF小説の古典的傑作1984。現代の中国、日本の情勢を鑑みても、1948年に刊行された本書の先見の明には驚きを禁じえません。政府に都合の悪いことは隠蔽したり、改ざん。反政府的な言動には「言葉狩り」など。SF好きでなくても、本好きな方なら必読の名著です。

1984
最新情報をチェックしよう!