映画「サウルの息子」の感想・レビュー。ホロコーストを題材にした秀作。

今年はナチスイヤーなのか?現代にタイムスリップしたヒトラーをブラックジョークで活写する「帰ってきたヒトラー」。ナチスの宣伝材料と化したベルリン五輪を描く「栄光のランナー」。90歳の認知症老人の復讐譚「手紙は憶えている」、年末公開の少年兵による地雷除去の物語「ヒトラーの忘れもの」。そして、この「サウルの息子」。どれも、映画ファンを唸らせる良作ぞろいですが、この作品はいささか毛色が異なります。まず、ワイド画面ではなくスクエアサイズ。画面に映るのは、主人公サウルの顔の周囲か、彼の視点の限られた範囲のみ。背景もほぼボヤけていて何が写っているのか判然としません。物語は、ナチスのユダヤ人強制収容所で働かされるゾンダーコマンドのサウルが、目の前で殺された息子と思しき少年の葬式をあげようと画策する話。ゾンダーコマンドとは、同胞のユダヤ人の死体処理をさせられ、用が済んだら殺される特殊部隊のことです。「面白い」と表現するのは憚られますが、映画的な手法が秀でていて、ホロコーストの恐ろしさが、まるで仮想体験のように感じられた秀作でした。

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